観るものと、生活の日記

劇団ダンダンブエノ

劇団ダンダンブエノ「バナナがすきな人」
★★★


2004年5月30日14:00於シアタードラマシティ

作:大森寿美男&劇団ダンダンブエノ
演出:近藤芳正

出演者:中井貴一 いしのようこ 酒井敏也 山西惇 粟田麗
温水洋一 近藤芳正



(あら筋)

昭和40年ごろ。父母と小5の息子+飼い犬のいる家族のお話。
父(中井貴一)は包丁の実演販売をして、母(いしのようこ)は専業主婦。
父はほらふきで、しかもほらをふいているうちに自分でも本当だと思う
クセがあり、家族を混乱させる。
さらに、外で何をしているのか家に入れるお金が少なく、家計が大変。
母は、これまでは笑って済ませて内職にも頑張っていたが、ついに家出する。
慌てる息子(温水洋一)と、飼い犬(酒井敏也)。老齢の飼い犬は、近所の若い
野良犬(山西惇)とともに母親が戻るべく奔走。
そこへ近所のちょっと変わったお姉さん(粟田麗)も加わって話がややこしくなる。
母は、外で仕事を見つけて生き生きしていた。家族で話し合った結果、
前向きな離婚が成立。
当時の流行歌を使っての、歌謡ショー+ダンス付き。


(感想)

気楽に楽しめました。お客さんの年齢層もずいぶんとバラけた感じで
男性客も3割程度いました。それだけでも結構多く見えますね。

 犬の酒井さん、しっぽをつけてるだけなのに犬に見えるし
後ろ向いて寝そべってるだけでも、かわいらしかったです。
小学生の温水さん、「おじいさんみたい」などと言われつつ…やはり
ちゃんと小学生に見え、健気さに心を奪われました。
粟田麗さんは全然知らない役者さんでしたけど…風変わりでやや毒のある
近所のおねえさん役で、突然ヘンなダンスを手馴れた様子で踊り出したりと
強い印象が。笑えました。
変なのに「もしかして、いるかも」と思わせるキャラクター揃いの中、
中井貴一さんがやったお父さんのキャラクターだけは
「こんな人はいない!」と言いたくなる謎にみちていました(笑)。
お母さん(石野よう子)たまりかねて出て行くはずです。
話もちょっと不思議な感じ。題名だけかと思ってたらホントにバナナが
たくさんでてきたのは意外。
時代は昭和40年頃だそうですが、筋は今時風。子供にとってはどうなの
かなぁハッピーエンドなのかなぁ、と少し思いつつ
全体にはほのぼの+ちょっと変わってる加減で面白かったです。

背景やセットも時代に合わせて懐かしい感じ。周りに高い建物がなく
空が見えて木の電信柱があって。土の道に原っぱがひろがってるような。
家は庭付き平屋(家具は壁に一本線(墨?)で描かれてるだけ)。
服装も、父親は着物きて息子はツギのあたった洋服、犬は(ホントは
裸だけど)古びたシャツに短パン…といい感じがしました。

微笑コメディ、とありましたが会場すごくウケてました。
私はそんなにすっごく笑える!というんじゃなく、じわじわとした
笑いでしたが、観られたのはよかったです。

 「懐かしいわぁ」と舞台に出てきた橋幸夫の唄をくちずさんで
る人がいたりロビーでの会話からすると、ちゃんと舞台の時代を知ってる
人たちにウケたんだなぁ、と思ってたら
7歳くらいの子どもも「すっごい面白かった!」と本気で楽しそうに
感想を語ってました。
劇を観て喜んでる子どもってはじめて見ました。



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